9月の連休に 麻有子達が別荘に来た。

美奈子は 廣澤家のみんなに 和哉を紹介しようと思っていた。


夜、別荘に着いた麻有子達に 美奈子は翌朝会いに行く。
 

「美奈ちゃん、結婚するんだって。おめでとう。」

美奈子を見て、智之が言う。
 
「良かったわね。パパとママも安心していたわ。」

麻有子に言われて、

「後で、彼を紹介したいんだけど。連れて来てもいいかな。」

美奈子は 恥ずかしそうに言う。


お父様達も お兄様達も 笑顔頷く。
 
「もちろん。私達もお会いしたいわ。」

お母様は 優しく微笑む。


「中学の先生ですって。」

麻有子に聞かれ、

「そう。社会科の先生。柔道部の顧問よ。」

美奈子が答える。
 


「へえ。美奈ちゃんと同業者だね。」

とお兄様が明るく言い、みんなが笑顔で頷く。


 
「美奈ちゃん。結婚しても、仕事続けるの?」

麻有子は美奈子に聞く。

「もちろん、続けるわ。教師って薄給なのよ。」

と笑う美奈子。
 
「子供が生まれても?」

と言う麻有子に、
 
「その時は、ママに助けてもらうわ。」

と美奈子は 笑って答えた。
 


「新居はもう決めたの?」

智之に聞かれ、
 
「当分、和哉のアパートで いいかなと思って。子供ができて、手狭になったら考えるつもり。」

美奈子が答えると、お母様はクスクス笑い、
 

「美奈ちゃんも、麻有ちゃんと同じで、欲がないわ。」と言った。

麻有子もつられて笑い
 
「私達、貧乏性なんです。ねっ。」

と美奈子に言う。笑顔で頷く美奈子に、
 


「美奈ちゃん、幸せそう。すごく 綺麗になったわ。」

とお姉様が言い、美奈子は 頬を紅くした。
 
「もう。止めて下さい。」

と照れる美奈子。


夕食を 一緒に食べる約束をして、美奈子は和哉を連れに帰って行った。