地元の大学を卒業して 保育士になった美奈子。

両親と一緒に 実家で暮らす日々は、何も 変わらないまま 流れるように過ぎていく。
 


「あっと言う間に 30才過ぎていてさ。本当、びっくりだよね。」

高校時代からの親友 理香と 食事をしながら 美奈子は言う。
 
「そうそう。私、お正月に 厄払い行ったんだよ。親に言われて。」

理香は 顔をしかめて言う。
 
「厄年?そうなの?私もお祓い、行こうかな。」

美奈子が 真剣に言うと 理香は苦笑して
 

「そういうの 馬鹿にしていたけど 案外良かったよ。胸がスッとした。」

と言った。
 

「それ、年取ったってことだよ。」

ケラケラ笑う美奈子に、
 

「美奈子、焦らない?私 今の生活 別に 不満はないけどさ。時々、怖くなるの。10年後もこのままかな とか考えて。」

と理香は言う。