和哉に進められて、柔道の大会を 見学に行った美奈子。


会場は 町民体育館のサブアリーナ。

和哉に 教えられた場所から、美奈子は中を覗く。


いくつものコートで 同時に試合をしている。
 

美奈子が覗いた 入口近くのコート。

生徒と 並んで座っている和哉が見えた。

『よし。』とか『いけ。』とか、生徒達の声が聞こえる。


柔道を知らない美奈子。

どちらが 優勢なのかもわからずに、試合に引き込まれていく。
 

「やった。」と言う 生徒達の歓声を聞いて、和哉のチームが 勝ったことを知る。


整列して 礼をした生徒達と一緒に、和哉が外に出てくる。


入口の脇で 美奈子は、控えめに 和哉の腕を引く。
 

「えっ。」

と言って振向いた和哉。

美奈子を認めて優しく微笑む。


「見てくれたんだ。」と立ち止まり。