和哉の車に駆け寄り、美奈子は 助手席のドアを開ける。


「昨夜はどうも。」

と言う美奈子と、

「今日はどうも。」

と言う 和哉の声が重なり 二人で笑い合う。


助手席に座った美奈子を見て、

「美奈子先生、今日は感じが違いますね。」

と和哉は 笑顔で言った。

「変ですか。」

美奈子が聞くと、

「いえ。すごく綺麗です。やっぱり。」

と和哉は言って、顔を赤らめた。


“やっぱり” が嬉しくて、美奈子は照れてしまう。
 


「止めて下さい。私、褒められるの、慣れてないんだから。」

美奈子が 笑ながら言うと

「でも、本当に綺麗ですよ、美奈子先生。ジャージでも。」


と和哉は答えて 美奈子は爆笑してしまう。
 

「ありがとう。素直に嬉しいです。ジャージを褒められたの、初めてだから。」

和哉の 真っ直ぐな言葉が、美奈子の胸を 熱くする。


今まで感じたことがない、不思議な愛しさ。