翌日美奈子は、いつもより 少しおしゃれをした。
仕事の時は 素顔で、ジャージにエプロン姿。
普段も デニムばかりの美奈子。
珍しくスカートを履いて、薄化粧をした。
「あら美奈ちゃん。綺麗な格好して どこに行くの?」
出がけに 母に見られ 美奈子は、
「たまには おしゃれしないとね。」
と曖昧に笑って家を出た。
和哉との待ち合せは、街の中心にある コインパーキング。
約束の時間の少し前、美奈子は 自分の車を降りた。
控えめなクラクションが鳴って、美奈子はそっちを向く。
運転席で 微笑んで頭を下げる和哉が見えた。
その瞬間、美奈子の胸は 息苦しい程の熱さに包まれて戸惑う。
昨夜は フワッとした 温かい気持ちだったのに。
自分の心の変化に 美奈子は驚いていた。