母は 忙しくて 子供達のことを 構えない。

でも美奈子は 麻有子がいれば  寂しいと思わなかった。


麻有子は いつも 美奈子と一緒に 居てくれたから。

それに 美奈子は 麻有子が大好きだったから。
 


麻有子は 中学生になると 勉強に夢中で 美奈子と遊んでくれなくなった。

美奈子も 4年生になっていたから 自分のことは 一人でできたけれど。


とても寂しかった。
 

「お姉ちゃん、何で そんなに 勉強するの。」

美奈子が聞くと、
 
「私、頑張って 東京の大学に 行くの。」

と麻有子は言った。


“東京の大学” に 行くことが どれほど 難しいのか 美奈子は 想像できなかった。

その頃まだ 美奈子は 東京に行ったことさえ なかったから。