初めて美奈子と会った時、和哉は 美奈子から滲む 幸せな優しさを感じた。


研修の会場へ ギリギリに入って行った和哉。

たまたま空いていた 美奈子の隣に腰掛ける。


ビジネスバッグから 手帳とペンを取りだし、ホッと一息つく間もなく 研修は始まる。
 

「あれ。ヤバい。」

和哉が メモを取り始めると すぐに、ペンが書けなくなってしまった。


慌てて バッグの中を探る和哉。
 


「これ。良かったら。」

美奈子は そっとボールペンを差し出す。
 

「あっ。ありがとうございます。」

和哉は 初めて美奈子の顔を見る。


美奈子は 優しく微笑んで頷いた。


『可愛いなあ』


和哉の顔も 自然とほころぶような、温かな笑顔。
 

美奈子が貸してくれたペンは、キャラクターの飾りが付いていた。




そっと美奈子を盗み見て、和哉は 美奈子を保育士だと思った。


美奈子は 保育士定番の、ジャージにエプロン姿だった。