美奈子と春菜は、仕事帰りに 時々 一緒に食事をする。


春菜は、大学生の頃から付き合っている 彼がいた。

「春菜先生、まだ結婚しないの。」

美奈子が聞くと、

「うん。何か最近、どうでもよくなってきちゃって。結婚して、色々変わるの、面倒じゃない。」

春菜は 笑いながら答えた。


「親とか、何も言わない?」

長く付き合っていて、結婚しないのも 複雑だろうと 美奈子は思う。


「20代後半の頃には、色々言われたよ。私も結婚したいと思ったし。でもその頃、彼が転職して。それで落ち着くまで、って言っているうちに 今になって。」

春菜の言葉に、


「彼がいても、色々あるんだね。」

と美奈子は頷く。

「彼とは 縁がないのかな、とか、最近思うよ。急いで 結婚することもないけど、子供のこと考えると、ゆっくりも していられないじゃない。」

春菜はしみじみと言う。


「そうだよね。彼は どう思っているんだろうね。」

美奈子は聞いてしまう。

「何も考えてないわよ。フラフラ遊んでいて。結婚向きじゃないの、彼。」

春菜はきっぱりと言い切る。

「へえ。みんな大変なんだね。」

美奈子が 笑って言った時、