「個別の部屋はこのように自由に使っていいんですよ」

洋一は誰かの部屋を勝手に開ける。そこには、歌い手のグッズがデスクに並べられていた。棚にもウイルスに関する本の間に歌い手のCDが並べられている。

「部屋によって個性が出るんだね〜」

美咲が言い、洋一も「そうなんですよ」と頷く。

「なあ、洋一はどんな部屋なんだよ」

透は気になり、訊いてみる。洋一の部屋がどんなものなのか想像ができない。

「ごめん!俺の部屋は立ち入り禁止なんだ。色々散らかっててさ〜」

「ええ〜」

洋一の部屋が見せてもらえないことに透は不満の声を上げた。しかし、洋一は気にせず次の場所へ案内を始める。

洋一の名前が書かれた部屋を、玲奈がジッと見つめているのを透は見逃さなかった。