玲奈が目を輝かせて見るのは、どれも食中毒の原因となる菌ばかりだ。ビフィズス菌などを見ていた透は苦笑する。

「宍戸はやっぱり人の体に害のあるものがいいんだな」

「でも、玲奈が毒とか寄生虫に興味がなくなったって言った方が怖いよ」

美咲も苦笑しながら言い、「聞こえてるわよ!」と玲奈が返す。しかし、その顔は細菌たちに向けられていた。

「こっちにはウイルスがいるのね!これはニパウイルス感染症のものだ」

玲奈の言葉に透は驚く。それは平均致死率が五十%というとても危険な感染症のウイルスだからだ。

「確か、重篤な呼吸器障害、幻覚や痙攣を引き起こす脳炎だっけ……」

透の言葉に洋一が「危険なウイルスも置かれているんだ。研究のためにね」と言う。透がニパウイルスの周りを見れば、エボラやSARSなど恐ろしいウイルスが置かれている。

「ここにもし何かあったら日本は大パニックだね」

美咲が体を震わせ、洋一が「そんな一大事にならないよう点検は欠かしていませんよ」と笑う。そして、次の場所へと案内してくれた。