洋一の電話から数日、透は初めて目の当たりにした感染症研究センターの存在に圧倒された。

「すげえ!お前、こんな大きなところで働いてるのか……」

目を輝かせる透に洋一が「そんなことないよ」と照れ臭そうに笑い、玲奈が呆れたような目を向けてくる。しかし、透は興奮を抑えることなどできなかった。

人里離れた場所にある感染症研究センターは、東京ドーム十個分はあろうかという大きさだ。ここで日々、感染症に対する新薬の研究などが進められているらしい。

「感染症研究センターを目にするのは初めてだな。とても楽しみ」

玲奈が洋一に微笑む。洋一が頰を赤く染めた時、透の胸にモヤモヤしたものが走った。

「倉木さん、早く中が見たいな!」

美咲が言い、洋一は白衣を正し、「はい。ではこちらへ」と案内を始める。透たちは日本の感染症研究の最先端を誇る場所へ足を踏み入れた。

「うわ……」

「すごい……」

中に入った刹那、透と美咲は言葉を失った。