倉木洋一(くらきよういち)は感染症研究センターに勤めている透の友人だ。前に磯撫島に一緒に行き、病気を発見した。

「倉木、どうしたんだ?」

透が電話に出ると、「浜田、今大丈夫か?」と洋一の明るい声が響く。

「実はさ、磯撫島でのことを知った上司が「ぜひ話を聞きたい」って言ってさ。感染症研究センターも見てほしいし」

「感染症研究センターに?」

透の目が見開かれる。玲奈がここにいればきっとこう言うだろう。

「ぜひ、見学させてほしい」

「よかった。そう上司に伝えておくよ」

洋一の嬉しそうな声に透も微笑む。そして、感染症研究センターに行くことを楽しみにし、胸を弾ませる。

帰って来た玲奈と美咲にそのことを話すと、透の予想通り玲奈は嬉しそうな顔を一瞬見せた。その表情に透は頰を赤くし、美咲はニヤニヤするのだった。