「うっ……。スパルガヌムって恐ろしすぎるだろ。脳の中に二十年も寄生して、成長すると宿主を殺して出てくるとか……」

恐ろしい話に透は気分を悪くしながらも、寄生虫の医学書を読む手を止められなかった。少しでも玲奈の好きな世界を知りたい、なぜかそう思ったからだ。

「……アイツが何でこの世界を好きになったのかわからないな……」

数十分かけて医学書を読み進めていたのだが、気持ち悪さはピークを迎え、透は次のページを読んだらもう読むのをやめようと決める。身近にいる虫と寄生虫では気持ち悪さが格段に違う。

「ん?芽殖孤虫?」

それは、致死率百%とも言われる寄生虫らしい。透は声に出して文を読む。

「感染経路不明、治療法なし、感染例は少ないため研究は進んでいない。日本での感染例が最も多く六件」

ドクン、と透の心臓が音を立てる。なぜかこの寄生虫を知りたいと思った。しかし、先を読もうとした刹那、透のスマホが鳴り響く。

「倉木から?」