しかし、家にあるお金は限られている。夢を諦めかけた玲奈だったが、ある日家に帰ると弁護士を名乗る男性がいて、何億ものお金を受け取る権利が玲奈にあると言ってきた。

「もしかして……!」

玲奈は目を輝かせ、母を見つめた。母はとても戸惑っていたが、玲奈は嬉しさで満ちていた。法律の勉強をしていた為、弁護士の話はすぐにわかる。

玲奈の父は母と離婚した後、ある女性と結婚し、会社をいくつも経営する社長になった。その女性との間に息子ができ、何億ものお金を稼いで幸せに暮らしていたのだが、事故で亡くなったそうだ。

父が亡くなると、遺産は妻となった女性の手に渡る。しかし、その女性も病気で亡くなってしまった。莫大な遺産は子どもが受け継ぐこととなる。だが、その子どもも事故で亡くなったのだ。

遺産は通常ならば、相続人がいない場合は国が遺産を受け取ることになる。しかし、戸籍上は玲奈と父と新たな結婚相手との間に生まれた子どもは異母兄弟ということになる。つまり、玲奈に遺産を相続する権利ができたのだ。