変わり者の寄生虫学者である宍戸玲奈(ししどれいな)の助手をしている浜田透(はまだとおる)は、机の上に並べられた医学書を整理していた。

玲奈は看護師である飯野美咲(いいのみさき)と買い物に出かけている。二人は新しい服を買いに行ったらしい。

「はあ……。出かける前に片付けて行けよ……」

透はため息をつきながら、医学書に手を伸ばす。感染症について書かれたもの、内臓の機能について書かれたものなどを整理し、棚に戻していく。

「ん?これは……」

透はある医学書を目にした時、片付けをやめてその医学書を見つめていた。それは世にも恐ろしい寄生虫について書かれたものだ。

「アイツ、よくこの医学書を読んでるんだな。さすが変わり者の寄生虫学者」

その医学書には何度も読んだ後があり、付箋も所々に貼られている。透は苦笑しながらその医学書のページをめくった。

フォーラーネグレリアやギニアワームなど、玲奈から話を聞いたり透が実際に見たことのある寄生虫の名前や寄生された時の症状などが恐ろしく書かれている。