「よっぽどの事がない限り、私は入りますよ。」
東城さんの言葉に全員が振り返った。そして、
「俺もです。」
続いて瀬名くんも言った。
鮎川先輩は微笑んで「ありがとう」と言いそのまま歩いて行った。
「ここに座って。」
私は先輩に言われるままに丸い椅子に座った。そして木でできた棒を2本、渡された。
「えーと、俺もドラムはあまり詳しくないから説明が難しいんだけど、手をクロスして、右手はそう、1番左のシンバルで左手はこのドラム。これが基本かな。右足はここに置いて…。」
慣れない私に一生懸命説明してくれる先輩を見て私は少し感動してしまった。
しかし、私が試しに叩いてみるとその空気感は一気に変わってしまう。
全員の表情が曇る。さっきまで笑顔だった先輩もふざけあっていた2人も。
「…。」
私は言葉を失ってしまった。何かやらかしたかな。
「え、あの、いや、初心者な訳だし仕方ないとは思うんだけど…ね。」
鮎川先輩が引きつった笑顔でこちらを見ている。
しばらくの沈黙の後、
「こりゃダメだわ。」
と東城さんが言った。
「大体ね、リズム感とかないの?それに、ドラムの力強さとか全く感じないんだけど。ちょっと貸してみなよ。」
私は反射的に立ち上がって壁際に棒立ち状態になってしまった。
スティックを手に取った東城さんは、安定したリズムで力強くドラムを叩いた。
男子2人からおーっと歓声が上がった。
「東城さん、センスあるんじゃないかな?」
私に向けられたものとは全く別の鮎川先輩の表情に私は心の奥がモヤモヤするのを感じた。
東城さんとアドバイスを受け、再びドラムを叩いてみる私だったが、皆の表情は一向に変わる気配はない。
「うーん、花野さん、一回他の楽器やってみる?」
「はい…。」
私は完全に自信を失っていた。自分の無力さと、無知さと、無神経さを痛感した。
東城さんの言葉に全員が振り返った。そして、
「俺もです。」
続いて瀬名くんも言った。
鮎川先輩は微笑んで「ありがとう」と言いそのまま歩いて行った。
「ここに座って。」
私は先輩に言われるままに丸い椅子に座った。そして木でできた棒を2本、渡された。
「えーと、俺もドラムはあまり詳しくないから説明が難しいんだけど、手をクロスして、右手はそう、1番左のシンバルで左手はこのドラム。これが基本かな。右足はここに置いて…。」
慣れない私に一生懸命説明してくれる先輩を見て私は少し感動してしまった。
しかし、私が試しに叩いてみるとその空気感は一気に変わってしまう。
全員の表情が曇る。さっきまで笑顔だった先輩もふざけあっていた2人も。
「…。」
私は言葉を失ってしまった。何かやらかしたかな。
「え、あの、いや、初心者な訳だし仕方ないとは思うんだけど…ね。」
鮎川先輩が引きつった笑顔でこちらを見ている。
しばらくの沈黙の後、
「こりゃダメだわ。」
と東城さんが言った。
「大体ね、リズム感とかないの?それに、ドラムの力強さとか全く感じないんだけど。ちょっと貸してみなよ。」
私は反射的に立ち上がって壁際に棒立ち状態になってしまった。
スティックを手に取った東城さんは、安定したリズムで力強くドラムを叩いた。
男子2人からおーっと歓声が上がった。
「東城さん、センスあるんじゃないかな?」
私に向けられたものとは全く別の鮎川先輩の表情に私は心の奥がモヤモヤするのを感じた。
東城さんとアドバイスを受け、再びドラムを叩いてみる私だったが、皆の表情は一向に変わる気配はない。
「うーん、花野さん、一回他の楽器やってみる?」
「はい…。」
私は完全に自信を失っていた。自分の無力さと、無知さと、無神経さを痛感した。
