……この笑顔だ。この笑顔を見たいんだ。この笑顔を何度でも…………。
しばらくこの場所にいたオレと葵は、名残惜しいけどそろそろ帰ろうということになり、「また来よう」と話しながらこの場所を出た。
「隼翔兄、ここに二人で来たのっていつ以来だっけ? 半年以上は経ってるよね」
「そうだな」
「オレは、たまに一人で来ていた。そのたびに元気をもらった」
「オレも。最近来たのは……一か月くらい前か。ちょっと経ってるな」
「隼翔兄‼ 何でオレのこと誘ってくれなかったの‼」
「えっ……だってその時、お前は予定があったみたいだったし、それにお前だって一人で来てるんだろ」
「…………そうだけど」
「……お前、またすねてるのか?」
「そんなんじゃない‼」
普段はクールな葵。でも、時々甘えてくる葵。
母さんや義父さんや姉ちゃんには見せない一面。
だから、そんな葵を知っているのは、オレだけかもしれない。
そんな感じで葵と話していたら、いつの間にか家に着いた。
「ただいま」
またいつもの葵に戻っていた。
家に帰ってすぐにオレと葵はリビングに入ってソファーに座り、テレビを観た。