「……それに……実は……前に一度、オレはこの場所で隼翔と葵くんを見かけているんだ。そのとき二人は仲睦まじそうにしていて、ひょっとして二人は……って思ったんだ」


　……えっ……⁉

　まさかこの場所でオレと葵が二人でいたところを遼祐に見られていたなんて……。

　……って……あれ？

　オレと葵が二人で親密にいるところを遼祐が見ていたのならオレと葵のことが学校内の生徒たちに広まっていてもおかしくないはず。

　それなのに広まっているどころか全くその気配がない。

　……そうか、きっと遼祐はオレと葵のために黙ってくれている……。


「葵くん、ごめんね」


「え……」


「葵くんの気持ち…………葵くんの……隼翔がオレと二人きりで会ってほしくないという気持ち、わかるから。それなのにごめんね、隼翔のことを誘ってしまったと」


「遼祐……」


「遼祐さん……オレの方こそごめんなさい……」


「謝らないで、葵くん。葵くんが悪いわけじゃない」


「遼祐さん……」


「心配しないで。オレ、隼翔と葵くんのことを邪魔する気もみんなに言うつもりもないから」


「遼祐……」


「遼祐さん……」


「じゃあ、オレはここで」