だから少しでも早く母さんたちにきちんとオレと葵のことを話して、その後は街中でも気にせずに堂々と葵と手をつないだりして歩くということならいいのでは。
……と、思いたいのだけど……やっぱり……今はまだ……今はまだ…………。
……って、そんなことを思っている自分が……。
でも、いつになるかわからないけど、母さんたちにきちんとオレと葵のことを話して、その後は堂々とみんなの前で葵と手をつなぐことができるようになれたらなと思っている。
「隼翔、やっぱりここの桜もきれい」
考え事をしていたらいつの間にか、いつもの思い出の場所に着いていた。
「ああ、本当にきれいだな」
この場所はいつもきれいで特別な空間だ。
そのきれいな特別な空間に桜が咲くと、また違う美しさを魅せてくれる。
オレと葵は、そんな特別な空間の中で寄り添いながら美しい満開の桜を見続けていた。