三月初旬、葵は中学校を卒業した。



 オレが学校から帰ってきたら葵は家にいなかった。

 きっと卒業をした同級生たちと、どこかに遊びに行っているのだろう。





 夕方、葵が家に帰ってきた。


 葵は、すぐにオレの部屋に来てくれた。


 オレはすぐ葵に「卒業おめでとう」と言った。

 葵は笑顔で「ありがとう」と言って、その後すぐに卒業証書を見せてくれた。


 葵の卒業証書を見てオレは感動して言葉が出なくなった。

 葵に「どうしたの?」と訊かれたけど、オレは少し照れくさくて「なんでもない」と返答した。


 オレは照れ隠しに葵のことを抱きしめた。

 そして心の中でもう一度『葵、卒業おめでとう』と語りかけた。












 三月下旬。



 オレは葵に葵の高校合格が決まってから、またどこかに行こうと約束をしていた。今日がその日。


「葵、今日はどこに行きたい?」


「う~んと、どこに行きたいかな。いろいろ行きたいところがあって迷っちゃうな」


「今日行かなかったところには、また別の日に行けばいいから気楽に決めればいいよ」


「うん……でも、やっぱり迷っちゃう」


 そんな葵もかわいい。