あ、また来たよ。


これで今年に入って17回目
数えてる俺も俺だけど。

しかも決まって深夜に現れる。



買う物まで一緒。全く一緒。
そろそろ違う物買えよ、
値段覚えそうだわ。いや覚えてんだけど。








「430円です」


100%果汁のオレンジジュースとさきいか
将来のんべ確実だな。



「500円で」


てかだいたい毎度これ買うなら釣り銭なくちょうど持って来れんだろ?
何で毎回毎回500円なんだよ
お前ん家は500円玉貯金箱で出来てんのか



「70円のお返しです。ありがとうございました。」

丁寧に120度お辞儀
お客様誰に対しても感謝の気持ちを持って、
とか何とかマニュアルに書いてあった。

感謝だっけかありがとうの気持ちだった気もすんな
いやどっちも同じか




そんな下らない脳みそでお辞儀を続けてたけど
あの店出る時の音が全然しない





あれ?まだここにいる?

恐る恐る顔を上げると

「うわっビビった、」

「広瀬くん、」




「何だよ、渋谷」




"渋谷 美里"
こいつの事はまぁまぁ知ってる。

名前、性別は女
そして
俺の同級生

あと
俺のバイト先、
クソど田舎に一軒しかないこのコンビニに
毎週深夜現れる不審し…間違えたお客様


並べてみたら
こいつの事俺そんな知らなくね?



まぁ、ただのクラスメイトだもんな。

「あ、何?」


そういや名前呼ばれたっけ


「広瀬くんさ、連絡先教えて」



何だこいつ
本格的に不審者になる気か。

いや、同級生に連絡先聞いてるだけと考えたら不審者は可哀想か。


「何で」


「ひ、必要なの!煩いな」


何と強引な女
口を開けば逆ギレされんの、怖え。