私も食べ終わると、一ノ瀬くんは「洗うよ」と言って率先して皿を洗ってくれた。
家事はできないって言ったくせに皿洗いだけは一人前じゃない。
まあ、バイトで皿洗いとかあるもんね。
一ノ瀬くんの大きな背中を見つめながら、私はローテーブルを綺麗に拭いて、片付けをした。
「あ、一ノ瀬くん。私今からバイトだから昼は作れない」
「あー俺も。バイト」
へぇ…偶然。
「あ、忘れてた。綾川さん。はい、これあげる」
え……?これって、合鍵?
「はい、俺のもあげるからさ。綾川さんのもちょーだい。」
えぇぇぇえ…そ、そういうこと?

