「じゃあお邪魔しまーす」 にこっ、と意味深な笑みを浮かべた一ノ瀬くんは、すたすたと私の新居へ入っていく。 結構遠慮しないんだな……。 なんてことを思いながら、私もその後を追う。 「わあ、これ綾川さんが作ったの?」 「そ、そうですけど…」 「隣からすごいいい匂いしたからさ、気になって来てみたけどほんとうに美味しそうだねぇ。食べてもいい?」 ___へ? 食べるの? 「いや、ひとり分しか作ってないからですね…」 「えー、いいじゃーん。お願い」 うぅ、そこまで言うなら……。