安井はあれから、一切私に近寄らなくなった。

でも、女子や男子と毎日が楽しそう。
何にも変わらない安井に少し胸がやっぱり痛む。私はそんなに好きでいてもらって無かったと。嫌でも思い知るから。

歩とは、クラスも、部活も、学校の行き帰り一緒にいる。
夫婦みたい。

歩といると自然で。触れる腕、触れる肩
触れる手、触れる身体と身体。

ドキドキとゆうか、自然過ぎて
とても不思議な位落ち着いている。

私は、歩だけを見て。歩の背中についていく。大好き。。

部活が始まって、各自で好きな場所で絵を描く事になった。

運動場近くの中庭を描こうかな〜。

あっ。安井。

安井の周りには沢山の女子。
相変わらず人気者なんだ。。

席替えをしてからは、私は1番前の右側で
安井は、1番後ろの左側の席で。
全く、安井が目線に入る事はなくなった。

彼をじっと眺めるのは数ヶ月ぶりかも。
私の心は、歩との時間で埋めつくし、安井の事は、クラスメイトとしていれるようになってる。

って、また、考えてた?

・・・さぁ。描こう!

「よっ。久しぶり。」

優しいく耳元で声がした。

傍に人が来たのかも気がつけなかった。

振り向いた先には、
・・・安井がいた。

久しぶりに顔が近い。前みたいにドキドキしないぞ。冷静に。冷静に。

「ほんと、久しぶり〜。相変わらず人気だね。」

「・・・別に。。なに描いてんの?」

絵を覗き込んだ。

「俺。高木の絵好きだよ。」

・・・えっ?胸がトゥクンと、音をたてた。

なんなの?素直に絵好きだよ。なんて。
あの時に言って欲しかったな。

・・・何を考えてるの。私は歩がいるのに。

「私の絵を気に入ってくれて、ありがとう。」

私のすぐ傍で、私の顔の近くに安井の顔がある。
誰にでも平気にしてる。わかってるのに。
久しぶりのこの距離にやっぱり、胸がざわつきそうになる。

「結菜。」

歩の声がした。歩の方を見ようと顔を横にした。
そこには、安井の顔がまだ、近くにあって、
もう、少し動いたら
私の唇は安井の頬にあたりそう。。だ。

安井は、なんでよけないの?
私の鼓動が早まる。安井にばれちゃう。
歩は、黙ったまま立ち尽くしてる。

安井は、真面目な顔をして真っ直ぐ前をみてるまま、動こうとしない。

ダメ。心がざわつきはじめてしまう。