「恭子のは、どこにする?」

4人でランチをしながら やっぱり指輪の話しが続く。

樹が聞くと、恭子は少しはにかんで、
 

「ティファニーがいいな。」と言う。

甘く樹を見つめながら。

樹は 胸がフワッと温かくなり 笑顔で恭子に頷く。

樹が 最初にプレゼントしたネックレス。

今日も 恭子の胸を飾っている。


恭子は、一人で ネックレスを買いに行った樹を 労わってくれた。
 
「いいね。よし 今からいっぱい働いて 世界一大きいダイヤを ティファニーで買ってあげるよ。」

樹が、照れを隠して言うと、
 
「大げさ。」と恭子は笑い、
 
「中間くらいのでいいからね。」と続けた。

樹だけでなく 健吾と絵里加も 声を出して笑う。
 


「あっ、そうだ。絵里ちゃんの結婚式に 振袖着るから 来週お母さんと見に行くの。みんな、一緒に行ける?」

恭子が言う。
 
「俺も 行っていいの?」樹が聞くと、
 
「もちろん。樹さんに 一番 見てほしいもの。」

と甘く答えてくれる。
 
「あ、お兄ちゃんは どっちでもいいけど 絵里ちゃんにも 絶対に 選んでほしいの。」

恭子が 絵里加に言うと 健吾は口を尖らせ、
 

「絵里加だけの貸し出しは 有料だから。」と言った。

みんながケラケラと笑う。
 
「絵里加は、物じゃありません。」

と健吾に言う絵里加に また笑ってしまう。
 


「だいたい、恭子は ムカつくよ。 “絵里ちゃんの結婚式” じゃなくて “お兄ちゃんの結婚式” だろう。」 

膨れた声を出す健吾に また みんなで笑ってしまう。


「そうだね。そうなんだけど。何か私 絵里ちゃんの身内みたいな気がして。」

と恭子は 素直に答える。
 
「絵里加は、タッ君の 妹みたいなものだから。」

絵里加は 優しく言う。樹も 笑顔で頷く。
 

「すごく深いつながりだね。」

恭子の 嬉しそうな笑顔は 樹だけでなく みんなを幸せにする。
 

「そうだよ。だから ずっと 仲良くできるんだよ。」


樹の言葉は みんなの 胸を温かく包む。


若い4人が 力を貸し合い 不安を取り除く。




家族なのに最高の仲間だから。