「何か、良いですよね。妹が 幸せそうにしていて。」

健吾は、甘い樹と恭子に言う。
 
「俺も、姫は 妹と同じだから。ケンケンと 同じ気持ちだよ。」

あんなに苦かった 絵里加への恋心は 穏やかに消えていた。


今は 恭子が 樹の全てだと 言い切れる。
 


「タッ君とケンケンって 性格が 似ているものね。二人が仲良くできて 私達も良かったよね。」

と絵里加が 恭子に言う。

その言葉で 樹の 全ての苦さが 消えていた。
 

大らかで 明るくて 朗らかで。

確かに 翔や壮馬とは 違う二人。


絵里加が 健吾を選んだことは 樹を選んだことと 同じなのかもしれない。


だから健吾に会った時 樹は諦める覚悟をした。


健吾に 自分を見たから。


そして 樹の前に現れた恭子は 絵里加以上に 樹を癒してくれた。


恭子と出会えたのは 絵里加と健吾のおかげだから。
 


「めぐり会いってすごいね。運命を感じるよね。」

ふいに言った 樹の言葉に 3人はポカンとした顔をする。


今 この瞬間から 樹の中で 新しい何かが動き出す。


恭子への愛、家族への感謝。

仕事への意欲。



すべてが前向きに樹を導く。