夜は、電話で話す。

恭子は いつも元気な声で 樹を笑わせてくれる。
 
「恭子、ありがとう。お祖母様とお袋が喜んでいたよ。」樹が言うと、
 
「ううん。私こそ、すごく 優しくしてもらったよ。そうだ 今日のお味噌汁 私が作ったの。どうだった?」明るく話す恭子に、
 
「すごく美味しかったよ、料亭みたい。」と答える。
 
「ちょっと、ばかにしているでしょう。」と拗ねた声で言う。

そんなところも可愛くて 樹は明るく笑ってしまう。
 

「本当だよ。とてもよく出来ていたよ。お豆腐の大きさも 丁度よかったし。」

樹が、真剣に褒めると、
 
「ありがとう。よかった。」と素直に言う。

愛しさが溢れて、胸が温かくなる。
 

「恭子。好きだよ。」小さな声で言う。
 
「樹さん、私も。大好き。」

恭子の返事は可愛くて、愛しさが募る。
 

「可愛いな。会いたくなっちゃうよ。」

樹は言ってしまう。
 
「もうすぐお正月休みでしょう。」

恭子も樹の休みを待っている。
 
「あと2日だよ。そうしたら、毎日会えるからね。そうだ、お正月は初詣に行こうね。」
 
「うん、行く。絵馬も書きたい。」

恭子の元気な声は、樹を笑顔にする。
 
「恭子、何て書くの?」
 
「うーん。やっぱり無病息災かな。」恭子の真面目な答えに
 
「地味。」と樹は笑う。
 
「だって、基本だから。じゃあ樹さんは、何て書くの?」

拗ねたように聞く恭子に
 
「そうだな。安産祈願かな。」と樹も笑う。
 
「早過ぎ。」と笑う恭子。

胸を温かな思いが満ちてくる。