本当に少しずつ 無理なく自然に 樹は 恭子との距離を縮めていく。


普段は 週末しか会えない二人。

少しだけドライブをしたり ゆっくり買い物をして。

樹は必ず 夕方までには 恭子を送り届ける。
 


クリスマスが近付き 恭子の希望で イルミネーションを見に行った。


プレゼントは、2人で選んだ ティファニーのブレスレット。
 

「素敵。嬉しい。」目を潤ませて喜ぶ恭子。
 
「気に入った?」樹が聞くと
 
「うん。とっても。それに 段々 指に近付いてきて それも嬉しい。」と言う。

樹は、声を出して笑う。

なんて可愛いのだろうと。
 


恋人達で賑わう 公園のイルミネーションに
 

「きれい。」と言う恭子は 少しずつ 大人っぽくなって 樹を悩ませる。
 

そっと肩を抱いて 静かにイルミネーションを眺めていると もう一歩前に 踏み出したくなってしまう。

寄り添う恭子が 樹を見上げた時 樹は 静かに恭子を 抱きしめてしまう。

恭子も ぎゅっと樹の胸に抱き付いてくる。


愛しさが込み上げて、優しく髪を撫でながら、
 
「恭子。愛しているよ。」と樹は囁く。
 
「私も。幸せ。」恭子は、胸の中でそっと呟く。


今はまだ、ここまで。ゆっくり歩こう。

時間はたっぷりあるから。

樹は自分に言いきかせる。