車の中、二人 前を向いている気安さが 二人を正直にする。
 
「お兄さん、一人で 買いに行ってくれたの?」

早速 付けたペンダントは 恭子の胸元で輝く。
 
「そうだよ。」樹が答えると、
 
「私のために。恥ずかしくなかった?」

恭子の思いやりに 樹は感動する。

プレゼントを喜び、それを選ぶ樹を喜ぶ。
 

「少し照れくさかったよ。」

そっと横を見ると 恭子が 明るく微笑んでくれる。
 
「お店の人に、彼女の誕生日です って言って。いくつか 見せてもらって。その中から選んだの。」

スムーズに 流れる高速道路は 樹の心を 解放してしまう。


このまま 何も言わないで 恭子を 縛りたくなくて。
 

「本当に嬉しい。18才、最高。」

樹は 声を出して 笑ってしまう。


『俺は、この子といると、いつも笑っている』

そんな思いが 樹をもう一歩 踏み出させる。