食事をしながら、誕生日の話しになり。

恭子の誕生日が 8月7日だと知る。

恭子の策略。

誕生日に 二人で食事を したかったのだろう。


控えめな少女は 言い出せなくて そっと予定を重ねた。
 


軽く 問い詰める目で 恭子を見る。

恭子は、いたずらを見つかった子供のような目で 樹を見返した。
 
 


樹は、恭子の誕生日プレゼントに ティファニーのペンダントを選んだ。

まだ指輪は あげられない。

たとえファッションリングでも。


だから胸元で、恭子を 輝かせるように。
 

こんなに真剣に プレゼントを選んだのは 初めてだった。

ずっと絵里加に 恋していたから。


大学生の頃、何人かの女性と 交際したけれど。

こんなに本気で 何かを贈りたいと思う相手は いなかったから。
 

恭子の丸い目が 驚きで クリクリと動く顔を 想像してしまう。

ブルーの包装紙に 銀のリボンが掛かった包みは 樹自身をも 幸せな気持ちにしていた。