経営者の家に生まれて、当たり前のように 経営を継ぐけれど それは ほんの一部の 選ばれた人だけに 与えられた特権。

目の前の一部だけでなく 見えない奥まで全部見て 考えることだから。


お祖父様や父のように。

そして恭子のお父さんのように。


いつか ケンケンや壮馬も一緒に。
 


だから、恭子に 側にいてほしい。

恭子や、やがて生まれる 二人の子供を 守ることが きっと樹に 自信と安心を 与えるから。

恭子の家族から 同じ信念を感じたから。


経営者を支える お母さんを 見て来た恭子だから。
 


たとえ半年でも、恭子のご両親と 一緒に生活できて 本当に良かったと 樹は思った。



お父さんと話し 穏やかに微笑む樹を 恭子が 嬉しそうに見つめていた。