「絵里ちゃんも もう少しね。性別は聞かないの?」

母が 絵里加に聞くと、
 
「健康なら どっちでも良いから。産まれてからの お楽しみよ。」

と絵里加は笑う。
 
「絵里ちゃんの表情 とても柔らかくなったから 女の子じゃないかしら。」

と健吾のお母さんが言う。


健吾は 得意気に 絵里加を見た。

その様子を見た樹が、
 

「ケンケンは 女の子だと思うの?」

と聞くと、健吾は頷いて、
 
「絵里加そっくりの 女の子がいいなって思っていたんです。でも ここまで来ると 無事ならどっちでもいいけど。」

健吾の言葉に みんなが頷く。
 

「絵里加はね 男の子がいいなって思っていたの。だって ケンケンが 女の子を可愛がるの 妬けるじゃない。」


絵里加の言葉に 智くんは 声を上げて笑い、
 
「麻有ちゃんも 同じこと 言っていたよ。」と言う。

麻有ちゃんは 照れた顔で
 
「でもね、産まれたら可愛くて ヤキモチ焼くどころか 取り合いになるくらいよ。」

と言った。

樹と恭子は 楽しそうに 顔を見合わせる。
 


「俺は、恭子が 男の子抱くの 嫌だな。」と言うと、
 
「ですよね。俺も そう言ったんです。」と健吾が同意する。
 

「何 言っているの 自分の子でしょう。産まれたら可愛くて そんなこと 言っていられないわよ。」

母が 呆れた顔で言う。


まだまだ若くて。


親になる実感がないから。


でも、家族が増える喜びは みんなを明るく包む。