「恭子は 樹君と出会ってから 柔らかくなりました。大切にしてもらっているのが わかります。」

とお父さんが言い お母さんも 笑顔で頷いている。
 

「結婚式は 恭子ちゃんが 卒業したらすぐにしたいと思います。そのように 準備していきますので。」

と父が言い、みんなが頷いた時に、
 


「あの。私 今すぐに 引っ越してきたらだめでしょうか。」

と恭子が 大胆なことを言う。
 
「まだ学校があるでしょう。」

と言うお母さんに、
 
「お兄ちゃん達だって 大学生の時から 一緒に住んでいたでしょう。」と言う。
 

「また 恭子のわがままが始まった。」

と苦笑するお父さん。


「間宮さんさえ良ければ。うちは大歓迎です。みんなで大切に守りますので。」と父が言う。

やれやれ という顔のお父さんに、
 

「恭子ちゃんが おうちに帰った日は 火が消えたようで。だからお母様も 寂しいだろうと思っていました。でも ご承知頂けるのなら うちはすぐに来て欲しいです。」


母も強く言う。


「恭子、こんなに言って頂いて幸せだね。いずれ 嫁に出すのですから。少し早くても うちは構いません。それに近くですから。」

と言うお父さんの言葉に 恭子は 満面の笑顔になり、
 
「ありがとうございます。私 勉強もちゃんとするし おうちのことも お母さんに教えて頂いて 頑張ります。」と頭を下げた。
 


「樹君。この通り 言い出したらきかないから。覚悟しておいてよ。」

とお父さんは笑った。お母さんは、
 
「うちにも絵里ちゃんが とてもよく来てくれるんですよ。」と言う。
 

「絵里加達、おめでただから。そっちも楽しみですよね。」

と父が言い、みんなが笑顔になる。


恭子は、得意気な笑顔で樹を見る。

樹の 溢れる愛しさは 笑顔から滲み 恭子のご両親を安心させていた。