翔と3人、タクシーの中で

「私、あんなに悲しかったのに いつのまにか眠っていて。ひどいよね。」

と恭子は小さく言う。
 

「いいんだよ それで。俺も眠ったから。」

と樹が言う。翔も頷いて、
 
「俺だって、眠ったよ。」と言う。

まだ 納得できない顔の恭子に、
 

「それに お祖父様も眠っているからね。同じだよ。」

と樹は言う。

恭子の目に みるみる涙が溢れて 一粒流れる。


また泣かせてしまった と思いながら そっと手を握る。
 


こんなに幼くて。まだ20才にも なっていない恭子。


来月の誕生日は、みんなで お祝いしようと言っていたのに。


ごめんね。多分できないね。

でも恭子は 責めないだろう。

こんな時に って言ってくれるだろう。


だから 二人でお祝いしようね。

それとこれとは 別だから。


プレゼントは何がいい?

何でも買ってあげるよ。
 

そっと恭子の手を握りながら 樹は 心の中で呟いていた。