翌朝の恭子は、とても立派だった。

いつの間にか起きて 樹と翔の朝食を用意してくれた。


樹が目を覚まして キッチンに行くと 病院の父達に おにぎりを作っていた。


「恭子、ありがとう。」

思わず 後ろから抱きしめてしまう。
 
「食べられないかもしれないけど。」

と寂しそうに笑う。

起きて来た翔も驚いて、
 

「恭子ちゃん。無理しなくていいんだよ。」

と優しく言った。


寂しそうに首を振る 恭子の為に 樹と翔は 朝食を食べる。


食欲は無いけれど 不思議と習慣で 食べられてしまう。
 

「恭子、俺 病院に行ったら 少し抜けて会社に行くけど大丈夫?」

おにぎりを パックに詰めている恭子に聞くと 恭子は頷く。
 

「みんないるから。大丈夫だよ。」

と言ってくれる。

お祖父様の会社だから。

“こんな時に仕事” なんて言わない恭子に 感心する。


樹の心は 恭子への 感謝と愛情が溢れていた。


『お祖父様。恭子は 最高の奥様になるね。』

と心の中で樹は言ってみる。