樹は感動していた。

お祖父様が作った この家族に。

そして 自分が この家族の一人であることを 誇りに思っていた。


多分、翔も壮馬も 同じ気持ちだったと思う。

照れた顔を 見合わせた時 心が通じた気がした。
 


「その点、麻有ちゃんは 料理上手だから。」と智くんが言い、
 
「ちぇ。こんな時にも のろ気かよ。」

と父が苦笑する。

少しずつ いつもの空気に 戻そうとするみんな。


隣に座る恭子を見ると 泣き腫らした目で 樹に微笑んでくれた。