その日の夜は 父と智くん 樹と翔を 病院に残して 母と麻有ちゃんは お祖母様を連れて 家に帰った。

恭子も一緒に帰り 樹の部屋で 一人眠る。


多分、最後の夜になるから。

本当の肉親だけで 過ごさせた お祖母様の計らい だったのかもしれない。
 


翌日の午後、お祖父様は 静かに息を ひきとった。


病院に運ばれた時のまま、静かに、苦しむこともなく。

家族みんなに 看取られて。


覚悟をしていたつもりでも その瞬間の 悲しさは 予想を越えていた。

みんなが 声を出して泣いた。
 


命が 終わることの寂しさ。

もう二度と 会えない現実。


元気だった時の 笑顔や言葉が 次々と浮かんできて。

人を失うって、こういうことなのかと 恭子は思う。


自分の祖父母は 小さな頃に亡くなっていて 覚えていなかったから。