今朝は 一緒に ご飯を食べたのに。

恭子のお味噌汁を 美味しいと 言ってくれたのに。


倒れた時も お水を飲んで ありがとうと言ったのに。

あまりにも急な変化に 恭子は 涙を流し続ける。

そんな恭子の肩を 母は ずっと抱いていてくれた。



その後 樹、壮馬、健吾の順で 病室に来た家族。

母は何度も 今朝の状況を 説明する。

母の話しを聞く度に 恭子は あの時を思い出し 涙が溢れる。
 


夕方 健吾の両親が 駆けつけると 健吾は、
 
「恭子は、お母さんと帰りなさい。」

と恭子に言う。

赤い目を見開き 首を振る恭子。
 

「ここにいてくれる?」

樹は そっと聞いてくれる。

涙を流して 恭子が頷くと、
 

「恭子ちゃんが居てくれて すごく助かったの。だから 恭子ちゃんが大丈夫なら 一緒にいてちょうだい。」

と母が言ってくれる。
 

「邪魔になって ご迷惑じゃないですか。」

と言う健吾に、
 

「邪魔だなんて。家族だもの。」

母は答えてくれた。


こんな時でも 樹の家族は温かい。


恭子の目から、新しい涙が流れた。