初めて健吾に会った樹は 健吾の目に 自分と同じ思いを感じた。 ずっと絵里加を 思っていた者の瞳。 そっと絵里加を見つめて、いつでも絵里加を助けたい。 絵里加の 喜ぶ顔を見る為なら、なんでもできるという瞳。 樹の心に、負けを認める思いが湧き上がる。 樹と絵里加は 従兄妹だから。 ずっと兄弟のように一緒に育ったから。 だけど健吾は他人なのに。 樹と同じように 絵里加を 見守り続けていたとしたら、敵わないと思った。