「あ、そうだ、
私、最近この近くに引っ越して来たんだ
また来るね!」

彼女は弾けるような笑顔を振り撒いて去っていった

取り残された僕は…

いつの間にか降りだした雪、それも豪雪の中

応援に来た同僚とともに喧嘩の現場に向かう

ひとまず、喧嘩は口論だけで、すぐおさまったけど

落ち着いたら、彼女の来訪を思い出した

なんだったんだろう、彼女は

ほぼ、10年ぶりくらいに、いきなり僕の前に現れて

僕の心に、ざわざわとした思いを残して

彼女は、また現れるだろうか

電話番号も、住所も、聞いていないのに?

そんな、僕の儚い希望に答えるかのごとく

彼女は、度々僕に会いに来た

僕の勤務中に、

しかも毎回、底冷えのする日に…