おぼろげに、記憶が甦ってくる

バラバラのジグソーパズルを、組み合わせるように

「あの、ひょっとして…」

僕はおずおずと、彼女の名前を口に出す

やっぱり…

彼女は高校時代の同級生で、その美貌と抜群の社交性から、高校の「マドンナ」的な存在だった

男子生徒の誰もが、彼女に憧れていた

そういう僕も、例外にもれず

でも、本ばかり読んでいた、どちらかと言えば内向的な僕と

周りに友達をいっぱい従えて、華やかな印象を振り撒く、外交的な彼女とは

つまり、接点がほとんど無く

言葉を交わしたことも、皆無だった

その彼女が…何と、目の前に

ああ、近況ぐらい、尋ねた方がいいのか

「今、何してるの?」とか

「綺麗になったね」とか

ああ、いや、以前から綺麗だったな