あぁ、またこうやって
わたしの心を簡単につかんで離してくれない。



突き放そうなんて気持ちは、あっけなくどこかにいってしまう。



「ダメなんて言わないで……依茉」


「っ…、」


甘えたねだり方をして。
わたしがダメって言っても、ぜったい離さないって瞳で見てくる。



「それなら、わたし以外の子だって……」


試すような言葉が出てきた。

ほんとは悝世が他の女の子を求めてなんて欲しくないのに。


悝世がこういうことをするのは、わたしだけなの……?って。


すると、悝世はムッとした顔をして
同時にわたしの腕を強引につかんで自分のほうに寄せた。


ものすごく近い距離。
ほんの少し……どちらかが動いたら唇が重なりそうで……。


恥ずかしがるわたしとは正反対に、悝世は真っ直ぐ射抜くようにわたしを見つめながら。



「……依茉は全然わかってない。
俺がどれだけ依茉を求めてるか、欲しくてたまんないのか」