……とりあえず悝世は今日撮影で帰りが遅いだろうから、夕飯は1人ですませないと。


学校を出て、帰りにスーパーに寄って。



マンションに帰ってきたら、真っ先にいつもならキッチンに立って晩ごはんを作るんだけど。



「……ん。なんかすごく眠い」


疲れたのかわかんないけど、帰ってきた途端ベッドに倒れ込んだらものすごい睡魔に襲われた。



少し……30分くらいしてから起きてごはんの支度しよう。



そう思って、ゆっくり重たいまぶたを閉じた。



***



……眠り始めていったいどれくらい時間が経ったんだろう…?


身体を少し動かしてみたら、自分以外の体温を感じるし、さっぱりした柑橘系の匂いがする。



「……ん、り…せ……」


たぶんほぼ無意識。



「……なーに、依茉」


あれ、なんかぼんやり悝世の声がする。