「……そんなことしたら唇きれる」


やめさせるために悝世が手首をつかんでくるけど、力を込めて抵抗してみる。



「いい、別にいいもん……っ」



「……よくないって。
やめなかったら無理やり塞ぐよ」


「っ、」



そんなこと言うのずるい…。

力じゃかなわない。



「もう、いい……っ、離して」


「……なんで」


「今は悝世と一緒にいたくない……っ。こんなキスもされたくなかった……っ」



ここで感情的になるのは、わたしがずっとずっと子どもだから。




「悝世のこと、もうよくわかんない……っ」


「……」



「幼なじみなら、こんなことしないで……」


「……ちがう」


ちがうって、何がちがうの?


その先の言葉が伝えられることはなくて。


この場にいるのが耐えられなくて、目の前の身体を押し返して。


後ろを振り返ることなく部屋を出た。