すぐに落ちるかと思っていたけれど、意外とどちらもすぐには落ちない。



「けっこう長い時間もつんだね」


「……とか油断してるとすぐ落ちるよ」



なんて言われて。


線香花火の光からスッと目線をはずして横目でバレない程度に悝世を見た。



花火の光があるとはいえ、周りはほとんど真っ暗状態。



何か会話でもしたほうがいいかな…と思ったけれど、何にも浮かんでこない。



そのまま目線を再び花火に戻したとき━━━。




わたしの手に持っていた花火の光が
地面にポツッと落ちていった。




「あっ、わたしの━━━……」



負け……って、
続けようとした言葉が途中で切れた。



花火の光が落ちた瞬間、


悝世の大きな手がわたしの頬に触れて、少し強引に横を向かされた……と思ったら。




何も言わずに


唇がそっと……重なった。