「悝世は……線香花火すきだった、よね」
いつも周りが盛り上がってる中、1人だけ隅っこで線香花火をパチパチやってたような。
「……だって儚くてきれーじゃん」
そう言うと、線香花火が数本入った袋を取り出してた。
「……依茉もいい年なんだから線香花火でいーんじゃない?」
「もう振り回したりしない、もん…」
ぜったいバカにしてる。
「んじゃ、これ依茉の分ね」
渡された1本の線香花火。
他の花火と違って振り回したらぜったい落ちちゃうだろうから、そっとその場にしゃがみ込んだ。
悝世もわたしと同じように肩が触れるか触れないか…の距離でしゃがんだ。
「……ねー、依茉。勝負しよっか」
「しょう、ぶ?」
「花火が先に落ちたほーが負けってやつ」
「ま、負けたらどうなる…の?」

