うまく線を引かれたような気がしたから。
"幼なじみらしくないことはしない"……って。
それを望んでいたのは自分だったくせに、いざ悝世にそういう態度で接しられて勝手に傷つくなんて矛盾もいいところ。
言葉どおり悝世はすぐにわたしから距離を取った。
なんともいえないもどかしさに襲われて、服の裾をギュッと握る。
「……なんか懐かしいね」
「なに、が…?」
「依茉のお母さんも言ってたけど、昔よく花火やったじゃん」
「う、うん…そうだね」
何気ない会話。
「依茉がいつも両手に花火持ってブンブン振り回してたの思い出したらなんか笑えてくるよね」
「思い出さなくていいよ…」
変なところは覚えてるんだから。
「……だって依茉いつもそれで走り回って俺のこと追いかけ回してたし」
昔を思い出すように話す悝世の声は心なしか少しだけ楽しそう。

