わたしが1人で悩んでグルグルしているっていうのに、悝世は呑気に花火の入った袋をペリペリ開けてるし……。
まさかほんとに花火やることになるなんて。
「ねー、依茉」
ふっと背後に悝世の気配を感じて、名前を呼ばれて振り返ったら。
「っ、ち、近く……ない?」
ボーッとしていたせい。
思ったより近くに悝世が立ってて、バカみたいに動揺して2歩くらい後ろに下がった。
周りが暗いおかげで顔がはっきり見えないのが救いかもしれない。
「……暗くて距離感うまくはかれない」
そう言って、わたしの顔を下からすくいあげるように見てくる。
表情までは見えないけど、少なくともすごく近くで顔を見られてるのはわかる。
「う、うまくはかってくれないと…困る」
「……別に依茉が困るようなことしないよ」
その言葉を聞いて、なんでかわかんないけど勝手に傷ついた。

