***


結局、流れのままに夜の外に悝世と2人で出た。


お母さんが張り切って用意した花火たちを持って。



夜だろうと関係ないくらい外はまだ蒸し暑さが続いている。



エレベーターでエントランスまで向かい、マンションを出て少し歩いて川沿いへ。



「あの、悝世……?」


「……なに?」


浮き沈みのない声のトーン。



「その、花火……別に無理しなくても、今からでもいいから帰ったほうがよくない?」


「……」


無視……。

前をズンズン歩いて、こっちを向こうともしない。



「ねぇ、悝世ってば……」


小走りで悝世に追いついて、服の裾をギュッと引っ張ったら。



「……いーじゃん」


裾を引っ張った手がスッと取られて、そのまま指を絡めて握ってきた。



不意打ちとはいえ、悝世に触れられたら簡単に心拍数は急上昇。