グッと下唇を噛み締めて
下を向いて歩いていたら。



「……少しだけ寄り道していこっか」



なんて言われて、空いていた片手を取られて繋がれて。


「え、あっ……手……」


「今日くらい俺が依茉ちゃんのこと独占してもいいかなってね」



軽く笑って、繋いだ手を離さないまま。

連れて行かれたのは小さな公園。



もう遅い時間なので人は誰もいなくて静か。


少し小さめのベンチがあったので、そこに2人揃って腰を下ろした。



正直、今は1人になりたくないって気持ちがあったから、こうして瑠衣くんが一緒にいてくれてよかったかもしれない。


1人になったら余計なことをいろいろ考えて、泣きそうになるから。




「さっきスタジオ出るときに自販機で買ってきたからよかったら飲んで」



そう言いながら、少し大きめのカバンから取り出されたお水が入ったペットボトル。